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鈴なりアーモンドの木の上で (アメラゴ) 7月18日~21日

2009.07.21 *Tue
モロッコにいる間にやっておきたい事のひとつ。

それはアーモンドの収穫作業を手伝うことである。


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ウルウイ村から50kmほど北上したところに、養蜂とアーモンドの里として知られる「アメラゴ」という、風光明媚な山あいの村がある。

アメリカのグランドキャニオンを思わせるような、地層がくっきりとした岩山に3方を囲まれて、谷間に沿うように集落が点在し、平野部には広大な畑が広がる。冬の寒さは厳しいものの、標高が高いせいか空はより青く空気が澄んでおり、夜空に散りばめられる満天の星空に圧倒される。
この自然環境のおかげで農作物の種類も豊富で、ウルウイ村にはめったにないリンゴや桃も栽培がなされている。


2月に来たとき、ここはアーモンドの花が満開だった。
日本の桜を思わせるような、アーモンドの木が畑のあちらこちらに植えられており、白くて可憐な花びらが風に舞っていた。
早春の、こののどかな田園風景はまさしく桃源郷を思わせた。



そして7月はアーモンドの実が熟す時期。

アメラゴからウルウイ村に嫁に来ているファティマが先週末から里帰りしており、アーモンド収穫を手伝うという。是非にと頼み込み、そこに便乗させてもらうことにした。

ファテマの実家には父、義理の母親、義理の妹が住んでいて、数軒先に住むファテマの実弟と一緒に雑貨屋を営んでいた。

このアメラゴの家族は、ファテマ経由で私が行くことをすでに承知していた様子で、初日の夕方ファルゴで到着すると、快く迎え入れてくれた。ここの母・妹は共に名前をファテマと言い、名前を呼ぶと女性達みんなが返事をするので若干紛らわしい気もした。


アーモンド収穫は家族総出の作業

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翌日は早朝に起きて、まず畑のウマゴヤシ刈りから。
アーモンド収穫で忙しいといえども、家畜たち(牛3頭、ラバ1頭、羊10頭、ヤギ1頭、鶏数匹)の食べる草は年中必要である。

その後、焼きたてパンで朝食を済ませ、女性達で連れだってアーモンドの木が植えられた畑へ。

ファテマの父はすでに木に登ってアーモンドの実を棒で叩いて落としている。

妹の方のファテマは私と同い年くらいで、すいすいと木に登りアーモンドをもぎはじめる。
母ファテマとウルウイ村ファテマは木の下に待機し、上から落ちてくるアーモンドの実を拾う係りである。

機械などは一切使わず、人間が木に登ってアーモンドを叩き落す、もしくは地上から棒で叩く、といった想像以上にマニュアルな収穫方法であったため少し驚いたものの、労働力として役に立とうと張り切って収穫を始めた。

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棒を持って下から叩くが、木の枝と実がしっかりくっついているのか、なかなか落ちてこない。
母ファテマたちがどうやって叩き落しているかやり方を習おうと思って見やると、落ちているアーモンドを石で割ってはむしゃむしゃ食べている。まだ作業を始めたばかりなのにこの緊張感のなさ。「カリマもちょっと休憩してお食べよ」と、すすめてくる。

「どうやら収穫中はアーモンドが食べ放題のようだ。」

アーモンドは炒って食べるのが日本流であるが、ここでは生アーモンドを食べる。
炒ったもののような香ばしさには欠けるが、アーモンドが持つ独自の香りと食感もまた美味である。ひとつ、ふたつと食べ始めるとやめられない。



木登りに挑戦


それにしても地上から、アーモンドの実を叩き落す作業はすぐに首や手がだってくる。
慣れてないため、実に当たらず空振りも多い。

こうなったら上に登ってしまえということで、妹ファテマが登っている木に登ってみることにした。
彼女とは違う幹にそろそろと足を進めていくが、足元がサンダルなのでなんとも危うい。
大人になってから木に登る機会なんてまったくないが、小さい頃はよく家の裏山で木登りをしたものだ。そんなことを思い出しながら、ようやく地上4mくらいのアーモンドが鈴なりになっているところに到達。

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片手で木の幹を持ち、もう片方の手でアーモンドをもいでは下に落とす。
しばらく試行錯誤しながら一番摘み取りやすい方法を試してみる。どうやらアーモンドの実のへこみが入っているほうを下にして折ると、木の幹から離れやすいようだ。手近の実が全部なくなると更に上へ。そしてまた上へ。足場を確保しながら登っていくのが楽しくなり、気がつくとベテランのファテマ父と同じくらい高い幹のところに来てしまった。

犬や何かに追いかけられて勢いよく木に登ったはいいが、いざ下に降りようとするのに降りられなくなった猫の話が頭をよぎる。下を見るとえらく距離があるように感じられて足がすくむ。
そうするともうアーモンドを摘むどころではない。木の幹から片手を離すのですら怖くなる。
適当なところで切り上げて、降りることにした。


しかし、木々の合間から見るアメラゴの岩山も美しい。
この岩山は毎回来るたびに違う表情を見せてくれる。
畑のあちこちではアーモンドを収穫する人の姿が見られ、話し声がきこえてくる。小学生くらいの男の子たちも、時折私たちのいる木の近くを通るが、ねこ車を押したり枝を切るのこぎりを運んだり、頼もしい労働力となっている様子だ。

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アーモンドの木の下に座り、家から持ってきたパンとお茶で休憩しながら、午後3時くらいまで作業は続けられた。木から全部実が落ちると、全員でアーモンド拾い作業。ナツメヤシの葉で編んだバスケットはすぐにいっぱいになる。殻付きなのでかなり重い。

拾い終わったアーモンドは穀物袋につめて、うちにもってかえり、しばらく天日干しにする。
すでに収穫して干したアーモンドの殻をファテマ母さんに頼んで割らせてもらった。
トンカチを使って少し叩いたくらいでは割れないが、逆に強く叩きすぎると真ん中のアーモンドの実の部分まで粉々になってしまう。これもコツがあるようだ。
割ってしまえばたべられる部分の中身はほんのちょっと。
どれだけ強固な殻に守られてるんだろうと思わずにいられない。


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夕方日が暮れてから、家の庭にゴザを敷いてみんなでお茶請けにアーモンド食べる。

この家庭では1日あたり1本のアーモンドの木から実をとるとして、あと10日間収穫作業が必要という。
お父さんもだいぶ歳をとってきたし、木に登るのも大変だろうと思う。
ファテマ妹ももうすぐ嫁に行かなくてはならない。
年取った夫婦2人でこの仕事をやるには重労働だ。

それでもアーモンドの木を売るつもりはないとファテマ母はいう。
時間をかけて収穫し、ご近所さんや親戚に少しずつ配り、あとは自分達で食べる、それでいいという。

男性も女性も農業に従事し、働き者が多いアメラゴ。
朝も夕も畑に出ていて、そこが彼らの社交の場にもなる。
お父さんやファテマ母にとって、畑で過ごす時間こそ健康の秘訣なのかもしれない。

そして翌日も、同じようにアーモンド収穫作業は続くのであった。



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アメラゴの猫



3日間泊めてもらったアメラゴの家には猫がいた。


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三毛の母猫と、先月生まれた子猫が2匹。
子猫は両方ともオスで、ともに白と黄色の2色の毛で、ぱっと見よく似ているため、最初はどちらがどちらか区別する事ができなかった。

背中全体が黄毛の子猫と、少し白毛が入っている子猫。
そう見分けられるようになったのはしばらくしてから。
最初は警戒していた母猫も、私がなでてやると気持ちよさそうに喉をのばしてきて、子猫たちも次第に私の存在を気にしなくなってきた。

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背中に少しだけ白い毛が生えているほうの子猫を、私は密かに狙っていた。

母猫が授乳するとき、常に乳の出がよい後ろ側を陣取っているので、もう一匹と比べて体も大きい。健康そうだし好奇心旺盛で一人遊びも平気だ。
暇を見つけてはかまっているうちに、どうも愛着がわいてきたのだった。友達のノラちゃんもKちゃんも一人暮らしながら猫を飼っている。ゴキブリも取ってくれるだろうし、冬は湯たんぽ代わりにもなってくれるかもしれない。ファテマの家族も好きに連れて帰っていいといってるし、うちで飼ってしまおうか。

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そんなことを一人思い巡らしていた3日目の夜。
近所に住む奥さんがやってきた。
すでに子猫がいるのを知っていて、やってきた様子だった。

私はちょうどそのとき、背中が黄毛の方の猫をひざに乗せて遊んでいた。

「猫が好きなんだね」

そういいながら、奥さんは私が遊んでいる猫を一瞥し、もう一匹の、私が気に入っているほうの猫を探し始めた。もしかすると私のひざの上の猫は私のお気に入りだと思ったのかもしれない。


「この猫を連れて行って」

そう心の中で念じたのに、庭の隅にある穀物袋にじゃれていた、背中に白毛が入っている猫を見つけてひょいと持ち上げた。

白毛猫はそのとき「にゃー」と一言だけ鳴いた。
たくましい奥さんの指で脚をしっかりと押さえられて身動きがとれない。
このあと自分が、この慣れ親しんだ家から連れ去られようとしているとはきっと分かっていないちがいない。それでもいつもとは違う人間の感覚に何かを感じている様子だった。

ファテマ母としばらく世話話をした後、奥さんは子猫を片手に持って、出て行こうとした。

その猫を私に頂戴と、ここで言えばもしかしたらくれるかも。

しかし私は言い出すことができなかった。

もう少し決断が早ければ、あの子は私のものだったかもしれないのに。。。そう思う気持ちもありつつ、
あの子は奥さんの家に行ったほうが、うちにくるよりもはるかに幸せだろうと、どこかで確信していたからだ。

村人の家で気ままな生活を送り、ご飯時にはタジンの残りを分けてもらい、子ども達にときどきちょっかいを出されつつ、たくましく成長していく猫になるだろう。


そう思うとやはりこれでよかったのだ。

奥さんの手の中でおとなしくしている猫に、私は最後「バイバイ」、と言って手を振った。

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Author:カリマ
出身地:山口県
血液型:A
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