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トゥブカル山アタック 6月23日~26日

2009.06.26 *Fri
富士山よりも高い山、トゥブカルへ


モロッコに標高4167mの山があるという。
これは是非登ってみなければ・・。


[1日目]

北アフリカ最高峰のトゥブカル山へのアタックは、マラケシュからスタート。
朝9時。フナ広場に近いホテル・アリに集合。今回のガイドであるハッサンは、K女史が以前参加したツアーにアテンドしたベテランガイド。何かと気が利くし、時間にもきっちり。今日もすでにお待ちかねの様子。それぞれペットボトルの水を買って送迎用のバンに乗り込む。


今回のトゥブカル・アタックメンバー(4名)

K女史(女)・・・登山歴約2~3年、マレーシアのコタキナバル山へ登頂経験あり。国内でも九州の山は制覇済み。モロッコでも早朝ウォーキング、自転車通勤などで足腰を鍛えるスポーティー派。
・ムサ氏(男)・・・山登りは社会人になってから。日本の北アルプス、中央アルプス、南アルプス、富士山に登頂。日本でもモロッコでも山に囲まれて暮らす異色のマルチ系アーティスト。
・ユリコさん(女)・・・幼少の頃より、家族で日本国内の山に登ることを趣味とし、山小屋宿泊も経験。その登山の様子を雑誌「山と渓谷」に掲載されたことも。登頂メンバー中、最年少のダークホース。
・カリマ(私)・・・国内は石鎚山、立山(剣岳)、海外ではチリのビジャリカ山へ登頂。過去に訪れた中南米、ニュージーランドではトレッキングが主。チリ北部では自身最高の標高4700mを体験。


マラケシュから登山口の村、イムリルへ

1時間後、イムリルに到着。標高1740m。
一昨年の大晦日に初めてイムリルを訪れた時は、マラケシュからの日帰りだった。イムリルの村から雪をかぶった山を眺め、お昼御飯を食べてグラタクで帰った。
今回は3泊4日のガイド付き登山。気合いの入り方が違うのである。

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本日のノルマはイムリルから、アラムド(標高約1900m)という1泊目宿泊予定の村までのミニ・トレッキング。
トゥブカル登頂を前に、高山病にかからないよう少しずつ標高を上げ、若干の足慣らしをするといったところだ。荷物はロバが運んでくれるというので、軽装になっていざ出発。
ここで、ガイドはハッサンからアブラヒムにバトンタッチ。現在ガイドとしてトレーニング中のような、いまどきの若者だ。若干頼りないが、履いている靴が質の高い舶来物と見るとかなり山には登っている様子。
5人が列になって、山間に広がるイムリルの集落を見下ろしながら、比較的なだらかな山の斜面(途中、土砂崩れで道なき道もあり)を越えていく。

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そうして1日目の宿「GITE D'ETAPE」に到着。

K女史が以前ツアーで利用したこの宿は、その後改築がなされてさらに客室も増えて、小奇麗になったとのこと。シーズンオフ中のためか、利用客は我々とイギリス人グループの3人のみ。ツーリストでごった返しているよりも、静かで落ち着けるこの時期に来て正解だったと思う。

すぐに昼ごはんが出てきたが、大皿に盛られたサラダにはあろうことかドレッシングがまったくかかっていない。続いて運ばれてきたマカロニも、ただ湯がいただけで味がせず。荷物運び担当の村の若い男性が作るこの食事、ヨーロッパ人の好みを意識したメニューなのかもしれないが、さんざんモロッコ料理で舌を肥やした我々には納得がいくはずがない。


ここでムサ氏が立ち上がる。
出された料理をいったん台所に戻し、料理番の男性の許可をもらってさらに手を加える。
アルバイト時代、日本料理屋の厨房で振るった腕前で、限られた調味料を使って野菜とマカロニのほかほかソテーへ。格段においしくなった昼食を夢中でかきこむ女性陣。料理の上手な登山仲間がいるのはなんとラッキーな事か。(実際このあと何度か、同じ事が起こるのであった。)



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午後は休息の時間、ということで宿のテラスでのんびり午後のお茶を飲む。
晴れていた天気が徐々に崩れ始めた。山の向こうから黒い雲がどんどんやってくる。
と、急ににわか雨が降り始める。私以外の3人は宿のテラスに干していた洗濯物を急いで取り込む。陽は差しているのに、断続的に雨降りになる。山の天気は変わりやすいのだ。

明日はどんな天気になるだろう。

夜は早々に夕食が出て、1日目は滞りなく終了。
寝る前に「山渓」のバックナンバー、植村直己特集をまわし読みした。いやがおうにも山登り気分は高まってくる。彼の世界に私たちは近づきつつあるのだ。
[2日目]

アラムド村→山小屋

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朝8時に宿を出る。お天気だが少しひんやりとした爽やかな陽気だ。
今日は1900mから一気に3400mの山小屋まで登るのだ。

アラムド村を出てしばらくは緑地帯が続く。宮崎アニメの世界よろしく、もののけ姫森をぬけて、ラピュタの要塞を見下ろし、風の谷を歩いていく。K女史とユリコさんは歩きながらよく歌を歌う。日本の小中学校の音楽の教科書に載っている歌、クラシック音楽のハミングなど。まだまだ全然余裕の様子だ。ムサ氏も黙ってもくもくと歩き続けているなあと思ったら、ipodでマイワールドに入っている。

山の斜面を雲がすべるように流れていく。
最初の休憩スポットを過ぎると、だんだん岩場が増えてくる。
川がどんどん細くなって沢になり、雪渓もところどころに現れ始めた。
上からおりてくる外国人ツーリスト、ガイド、ロバや馬たちとすれ違う。
山歩きの挨拶は世界共通のマナー。

一見日本人(中国人?)と見られる我々に彼らがかけてくる挨拶も様々だ。
『ハロー』 
『ボンジュール』
『オーラ』
『アッサラームアレイコム』
『コニチハー』
『ニーハオ』

とっさに何語で答えればいいのか迷ってしまう。


山小屋までは一本道なので迷うおそれは殆どない。だから日本によくあるような、トレック沿いの地図標示や「〇〇まであと何キロ」といった案内はまったくない。ただ目の前の道をいくのみだ。
ふと自分が今どこの国にいるのか分からなくなる。もともと山というものは、どこかの国に属しているといった概念を越えている場所なのかもしれない。

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途中から急に天候が変わった。雲が空を覆い、しばらくすると雨が降り始めた。
最初は小降りだったのに、山小屋まであと1キロ弱くらいで本格的な雨になる。
はおっていたウィンドブレーカーの中に雨が浸透してきて、靴の中もびしゃびしゃになる。
ラストスパートで目の前を歩いていたムサ氏が走り始め、私も後を追う。


午後1時、山小屋に到着。
山小屋にしてはかなり立派なところだった。
日本の山小屋を想像していたというユリコさんからすれば、こちらはトイレやシャワーなど設備も整っており、雑魚寝ではなく共有スペース・個人のスペースもちゃんとあって断然広いとのこと。掃除もなかなか行き届いている。

我々に与えられたのはドミトリー部屋。20人くらい収容できる二段ベッドとロッカーが備え付けてある大部屋だ。私たちが到着したときはまだがらんとしていたが、夕方までにぞくぞくと登山客がやってきて、終いにはいっぱいになった。


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雨もやんで夕食まで時間があるので、近くの雪渓まで散歩に出た。雪渓とは、氷河ではなくいわゆる残雪で、上にのるとさくさくと足がめり込んでいく。下界のマラケシュや南部砂漠地帯はTシャツに短パンでも耐え難い暑さだというのに、ここは肌寒くて雪さえ残っているという不思議さ。
程なく霧が出てきて、谷間をどんどん登ってきた。

夕食のあとは様々な登山グループが談話室に集い談笑している。時期的に休みが取りやすいのか、イギリス人が特に多い気がした。日本人グループは我々のみ。「他人の知らない雑学山手線ゲーム」で勝手に4人で盛り上がる。
その談話室の中でも一番大きなグループだったのが、部屋の一部を陣取ってトランプに熱中している現地ガイド集団たち。賭けトランプなのか、昼間の山歩きよりも真剣だ。きっと毎晩のように繰り返されているのだろう。

とはいえ、翌日の早朝出発に備えて談話室タイムもほどほどで切り上げる。

我々4人も寝袋に入り、川の字になって眠りに着いた。


[3日目]


アタック本番

4:30AM起床。
外はまだ真っ暗だ。

昨夜のプチミーティングの時に初めてアブラヒムから言われた。

「懐中電灯を持っているか?」

明らかにそれなしでは歩けない暗さだ。
幸いにアタックメンバー4人とも、その辺の用意は完璧だ。

軽い朝食を済ませ、他の数グループと一緒に、山小屋の後ろの斜面を登り始める。
非常に寒い。がしかし、歩き続けていると体が温まってくる。数回の沢渡り、大きな岩場ではガイドが手を貸してくれようとする。思えば昨日のトレッキングでは、アブラヒムは途中で我々と離れて別行動だった。山小屋についてからしばらくして、後発イギリス人グループと一緒に着いたが、彼は特に悪びれる様子もない。多分あのルートを歩くのはそれほど危険がないと見越してのことだろう。
しかし今日は我々の先頭に立って、しっかりと道を選びながら、比較的ゆっくりした足取りで登っていく。


程なく遅れ始めたのは他でもない私。
きついな、と思ったら自然と歩く速度にもブレーキがかかる。
もう無理をする年代ではない。
少し頭痛がしてくると、ゆっくり大きく深呼吸。


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尾根のところまでくると、山頂まではもう一息。
雪渓が残る岩の上は滑りやすく、スキーのストックを持っている人がうらやましくなる。


あたりは明るくなり、すでに太陽は昇ったようだが、残念ながらどんよりとした曇り空。
天気のよい日はワルザザートまで見えるという話だが、下界ももやがかかっているような感じで何も見えない。
でも、最後まで登り切ることに意義があるのだ。
一歩一歩踏みしめて、最後の力を振り絞る。

そして、山頂に到着。

高山病にもかからず4人無事に登頂。
固い握手・抱擁を交わし、お互いの頑張りを褒めあう。
アブラヒムにもハイタッチ、みんなで一緒に記念撮影。

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風が強いので岩に隠れるように座り、みんなで非常食用のナッツやデーツを食べる。
山頂にいたのはほんの10分程度。

「寒いからもう降りよう!」

みんなの一致した意見で、早々とまた荷物を背負って今度は下山。



行きはよいよい帰りはこわい♪

K女史が口ずさむ。
そう、本当の試練とは、登りではなく下りだったのだ。

山頂からふもとの山小屋までは細かい砂利道が多く、登りはそれほどでもなかったが、下るときはちょっと気をゆるめるとすぐに滑ってしまう。さらに足でストップをかけながら降りるので、ひざや腿にかかる負担が大きい。少し立ち止まると足がぷるぷる震えているのが分かる。

それでも健脚K女史はすたすたと降りていき、あっという間に見えなくなる。

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山小屋に戻るまでの道の長かった事。
今朝こんなに歩いたかしらん、と言いたくなるくらい果てしなく思えた。

しかし山小屋に着いたとき、時刻はまだ午前10時。

昼食を済ませると、さらにアラムド村までの道のりが待っていた。
またまたアブラヒムは我々を先に行かせて、あとで追いかけるという。

天気は回復し、青空が広がっている。

疲れを知らないK女史、その歩く速さに適応できるユリコさん、ムサ氏はどんどん下っていく。
途中で上から来た馬が追い越していくが、その背中にアブラヒムの姿が!「なんだよー」とか言いながらも、自分も少し馬に乗せてもらったK女史。なんでもありなのだ。

すでに筋肉痛の兆候が現れ、足が痛くなってきたので沢で足を冷やしているうちにまたもみんなから大幅に遅れてしまう。今日これから山小屋まで登っていく登山客と何度もすれ違う。彼らの表情は昨日の私の表情と一緒。これからトゥブカルに登るんだという、期待と勢いに満ちている。


村の手前、数キロ地点ではアブラヒムを含むメンバーみんなが待っていてくれたので、最後は一緒にゴールイン。すでに足はかちかち。
村に入って、階段を登るときは、もうカニのようにしか歩けなくなっていた。

高山病よりも筋肉痛にやられるとは。
でも宿に着いたときは本当に嬉しかったし、達成感があった。

宿ではすぐにシャワーを浴びて汗を流す。
料理番の兄さんが気を利かして出してくれた、おやつの揚げドーナツのおいしかったこと。
夕食も屋上のテラスで黄昏を楽しみながら。我々と全く同じ行程で山に登ったイギリス人グループは、夕食前に持参のワインを沢山あけていた。こちらも用意しておくべきだったかな。

寝る前にリレーマッサージで肩・首の疲れをほぐす。



4日目

朝食後、宿をあとにイムリルへ。
我々の荷物を積んだロバも一緒に森の道を抜けていく。
徒歩30分で到着し、カフェでお茶を飲んでからまた送迎バンに乗り込んでマラケシュへ。

山がどんどん遠くなっていく。
この3日間が夢のよう。歩きながらかじった草の青臭さも、にわか雨が頬を打つ冷たさも、雪渓の上を歩いた感触も幻のように思えてくるのだった。それでも本当に経験したこと。筋肉痛がその証拠。


11時解散。


無事に果たせたトゥブカル登頂。
モロッコの思い出がまたひとつ、増えた。
そして楽しくて頼もしい3人の仲間が、旅をさらに意味あるものにしてくれた。
トレッキング中つらくなっても絶対トゥブカルに登る、という気持ちがぶれなかったのも彼らがいたおかげ。ガイドも料理番も荷物運びのお兄さん達も、なんだかんだ言いながらお世話になりました。
みんなに感謝☆

山を降りたら少し潮風にあたってくるか。
次の旅がまた私を待っているのでした。

(終わり)



★インフォメーション★

トゥブカル山へのアクセス

(ガイドなしでいく場合)
マラケシュからグランタクシーでイムリルへ ※たぶんチャーター
そこから一気に歩いて山小屋まで行く事も可。
※アトラス山脈南側から登るルートありとの情報も。

山小屋もツアーに乗らなくても泊まれる様子(料金はわからず)ほかにも、「Les Mouflons」という一番大きい感じの山小屋は個室があり、2人部屋で300dh。
まわりのテント宿泊だと20dh。

アラムド村の「GITE D'ETAPE」
2人~4人部屋まであり、清潔で居心地がいい。
テラスもお庭も広くてのんびり過ごすのに最適。ただ、複数のシャワーを一緒に使うとお湯の温度が下がるのが難点。滞在中もあちこち改築していたので、次回行くときはまた便利になっているかも。
宿泊のみの単価: 1泊ひとりあたり150dh






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マキちゃんがくれた手作りの熊のお守り
おかげで無事登れました。
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COMMENT : 2

COMMENT

一番最近の記事、気がついたらみんなだんだんいなくなっていたという文章、写真を除いて読んでみると詩になっていますね。う~ん、飾らない文章だけどなんだか心に沁みました。
人間も歳とともに友人知己が亡くなったり、消息が途絶えたり、生き別れになったりと猫と変わらないかもしれない。
2009/12/29(火) 01:43:12 | URL | 通りすがり #- [Edit
面白い!
いやぁ、あなたの文章力に恐れ入りました。久々にブログを拝見しましたが、登山の思い出がまたありありと思い出しましたよ。リンクに付け加えさせてもらいましたのでよろしく。ではブールメンで!
2009/08/06(木) 18:21:39 | URL | yuko #- [Edit

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Author:カリマ
出身地:山口県
血液型:A
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テンプレート配布者:サリイ  (素材:ふるるか
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