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リーシュマニア症について

2009.11.19 *Thu
リーシュマニア症という病気をはじめて耳にしたのは、つい先月のこと。
エルラシディアにいる開発調査団の方から、グルミマは統計上このリーシュマニア症にかかっている患者が非常に多いという話を聞いた。

これまでグルミマで生活してきた中で、そんな病気のことは聞いたことがなく、もちろんその患者にあったこともなかった。気になったので真相を確かめるべく早速調査を開始した。

まずリーシュマニア症をネット上のウィキペディアでチェック。

『リーシュマニア症とは、トリパノソーマ科の原虫リーシュマニアの感染を原因とする人獣共通感染症の総称。サシチョウバエ類によって媒介される。主要な宿主は哺乳動物であり、ヒトのほかにげっ歯類、イヌなどにおいて感染の報告が多くなされている。リーシュマニア症には大きく分けて内臓型と皮膚型があり、皮膚リーシュマニア症は皮膚を冒すもので、サシチョウバエに刺されたあと数週間から数ヶ月後に皮膚に潰瘍や結節が生じる。』(ウィキペディアより一部を抜粋して掲載)

グルミマに多いと言われたのは皮膚リーシュマニア症である。
サシチョウバエ類というのがどういうものか、これだけでは良く分からない。

近所の学校の先生にリーシュマニア症のことを聞く。
先生いわく、蚊が媒体になって感染するが、この種類の蚊はグルミマにはいないとのこと。主に感染しているのはグルミマより南の砂漠地方の村だそう。サシチョウバエ類というのはどうやら「蚊」らしい。

村の診療所に勤めるアリさんを訪ねる。
グルミマにリーシュマニア症が多いのかと聞くと、彼もグルミマには殆どこの患者はいないとの言う。この病気はグルミマから南へ17kmのところにある小さな集落、さらにその向こうの集落で多いという事で、統計上多いのは、その患者がグルミマの病院で治療を受けているからではないかという。

さらにグルミマの病院で看護師をしている男性に話をきく。
彼も同じように、グルミマの町や集落部で発症したした人はいないという。グルミマではなくもっと南部の砂漠に近いところに大きなねずみが生息する地域があり、このねずみの死骸の血を吸った蚊(普通の蚊より小さい蚊)が人間を刺して感染するという。治療方法は、刺された患部のまわり4箇所に注射を打って治すということだった。

その南部地域で、以前小学校の先生をしていた男性から、この大きなねずみを駆除するために人間が毒をまいて駆除にあたったことがあり、この毒がまわったねずみの血を蚊が吸って人を刺し、感染に至ったという新説も耳にした。

いろいろな人の話を聞いた結果、「小さい蚊」「ねずみ」というのがポイントであると分かった。
網戸もすり抜けて入ってくるような小さい蚊はグルミマにもいる。夏の間出てきて音もなく皮膚の露出しているところにとまり、チクッと刺していく。刺されたところは後々までかゆいという、たちの悪い蚊だ。しかしこの蚊にはそんな感染症を引き起こす病原体を持っていない。もしあるなら村人全員がすでに感染していて当然というくらい、夏にありがちな蚊だからだ。
また、グルミマではねずみ自体、これまで一度も見たことがない。というのも、村の家はたとえ古くても毎日のように女性達がきちんと掃除をしており、掃き掃除をするときは塩素まぜてた水を床にまくという念の入れようである。さらにどの家庭でも猫が出入りしており、ねずみが出る機会は皆無に等しい。もちろん家畜小屋やゴミが捨ててある箇所など、出没の可能性のあるポイントはあるが、村人の話を聞く限り、「大きいねずみ」というのは報告されていないのである。

その後、ナドールでお医者さんをしているグルミマ出身の男性から、さらに詳しい情報が得られた。、
この小さい蚊は、英語で`phlebotomus'(フレボトム)と言い、日本語のサシチョウバエ類にあたる。実際にモロッコ南部の砂漠地域(グルミマより南)に生息しているという。また、ねずみは砂漠に住む種類のものが、このリーシュマニアの病原体を持ち、サシチョウバエ類の蚊を媒介して人間に感染するのだそうだ。感染した場合、薬物を投与する治療には6ヶ月かかるという。そしてグルミマにはサシチョウバエ類はいないと、彼も断言していた。

これらの情報を照らし合わせてみるに、グルミマではまず、リーシュマニア症にかかる危険性は低そうである。勿論、油断は禁物である。夏の間、旅行で数日間滞在するような場合、ほとんどは害のない蚊に刺されるだけだろうが、虫除け対策をするに越した事はない。常日頃から虫刺されに注意し、村人達がそうであるように夏でも肌の露出をなるべく避けるなど、配慮する事が必要である、と思った。


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グルミマの8月20日病院 外観
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